ミニマリストは文化の敵か?「無駄は文化」という意見に対する反論

ミニマリスト

ミニマリストがテレビに露出することが増えてきました。
NHKや「たけしのTVタックル」にもミニマリストが出演されていたようですし。

ブログコメントや番組内の意見に、気になるものがありました。
それは、「無駄こそ文化を作る。ミニマリストはその敵だ」というものです。
スタジオでは「ミニマリスト“モノを持たない人”は本当に幸せなのか?」をテーマに議論を開始。その中で阿川佐和子は、無駄こそが人間の良さだと切り出し、ミニマリストに疑問を呈する。すると、たけしも「文化っていうのは無駄だからね」と、無駄の必要性を訴えたのだ。
http://news.livedoor.com/article/detail/10699916/

ミニマリストに対する違和感の根源

ミニマリストは「これもいらない」「あれも無駄」。そう言ってものを捨てます。
これに恐怖を感じる人は結構多いようです。

無駄を排除する、という思想を突き詰めていくと、「人間なんて不要」という恐ろしい考えに行き着きます。
実際「社会にとって無用な人間を排除しよう」という風に老人や障害者など社会的弱者の虐殺がおきた悲しい歴史を人類は背負っています。
おそらく、ミニマリストに対する恐怖というか違和感は、ここにあるのだと思います。

さらにいうと、視点を宇宙から俯瞰して考えれば、人間など、取るに足らない、存在する理由も意味もない。そういったものです。人間のみならずすべてのものに存在価値はないということになります。
それでも存在していることに対する許しを得ようと思えば、「無意味なものでも無駄なものでも存在してよい」という思想を持たないとやっていられません。

しかし「ミニマリズムを突き詰めれば、命の断捨離にいきつく」
そう感じて批判的になっている人もいるかもしれません。

ミニマリズムはすべての無駄を排除する思想なのか?

では、ミニマリズムとは、無駄なものを許容しない思想なのでしょうか。
私はそうは思いません。

ミニマリズムは、あくまで「私的な空間には、無駄な物はいらない」という思想だと思っています。
この『私的な空間には』という留保が重要で、他人の空間や公共には無駄は存在してよいのです。
公的な空間に物がたくさんあるほうがむしろミニマリストは喜びます。
コンビニやアマゾンがあるからこそ、ミニマリストになれる人も少なくないはずです。
大型店舗に行って「物がありすぎて気分悪い~」なんて言ってる自称ミニマリストがいたそうですが、私には理解不能です

ですので、社会や公的空間、そして他人の家の無駄を排除しようなんていう考えはミニマリストにはありません(いるとすればその人は病気かもしれません。そっとしてあげましょう)。
自分の空間の中だけの話なのです。

ミニマリストは文化の敵か?

この発言の裏には、物を買うことが文化に貢献する、という事実があります。
この事実から、物を買わない奴は文化の発展に貢献しないフリーライダー、としてミニマリストを非難する人もいます。

物を買わずに文化を享受することは、他人の貢献に対するフリーライダー?

文化に対する貢献=物を買うこと、であるならば、おそらくこの問にはYESと答えるしかないでしょう。
実際、金を落とさない消費者ができる唯一の貢献は、「他の人が物を持っていることを羨ましがる(他の人の優越感を強くする)」ことくらいですから。
しかし、ミニマリストは物の所有に羨望はありませんので、これすらできません。
したがって、ミニマリストは、文化に対して何らの貢献もできないフリーライダーです。
ただし、「文化に対する貢献=物を買うこと」が正しいならば、です。

「文化に貢献する方法=ものを買うこと」なのか?

そうではない。と声高に否定したいところですが、残念ながら、そうなってしまっているジャンルも多いです。

アニメ業界がその一つです。
お客さん的には
①Blu-rayの単価高すぎ
②アニメ作品多すぎ
③「買う」発想が持てない
ビジネス的には
Blu-rayにかわる収入の柱が無い
④アニメ制作にかかる期間が昨今の移り変わりの早い時代に即してない
とかもあったり。
アニメ化した作品の原作が売れたとしてもアニメ2期には繋がらない、なぜ?
最近ではクラウドファンディングという形で資金を集めた事例があるようですが、
アニメ制作についてはクラウドファンディングでも、実際十分な資金を確保はできないそう。

また、芸人についても「テレビでのお笑い」に対して視聴者は直接お金は渡しませんが、広告を経由してお金を払っています。
広告の原資はやはり客の商品購入から生み出されるので、視聴者が物を買わないといずれ干上がります。
ビートたけしがミニマリストに批判的な事を言うのも当然で、ある種ポジショントークといえそうです。

一方成功事例もいくつかあります。
たとえば、スマホゲームです。
収益はアプリに対する課金がメインで、物の購入なしに、大きな利益をあげています。
また、パチンコもそうかもしれません。
実際この2つは、テレビCMもすごくて、物を買わずにテレビタレントに貢献する一つの手法となっています。
ただ、この2つくらいしか成功事例として簡単に挙げられない点が、社会にとっても辛いところでしょう。

文化のフリーライダー、と言われないようにするにはどうすればいいか。

究極的には、お金を寄付をすることでしょう。ダイレクトにお金が届いて、中間のロスが少ない。
残念ながら、日本にはあまり寄付をする文化が根づいておらず、その送金手段も殆ど無いのですが、
たとえば、芸人やアニメ製作会社に対してPAYPALで寄付できるなら、それが一番簡単です。
(この手法は、現在利用不可能です。法律違反だからです)

なので、ミニマリストが文化に貢献するには、物を買って破棄するというラディカルな方法しかないのが実情です。(そしてそんなことはしたくないし、普通はしません。)
ただ、これはミニマリストが悪いというより、入金手段をうまく構築できない「文化生産者側」の問題です。

まとめ

まとめると、
・ミニマリズムは、あくまで「私的な空間には、無駄な物はいらない」という思想なので、怖がらなくていい。
・ミニマリストは文化貢献度は低いが、それは入金手段を持たない「文化生産者」側の問題。
ということです。

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