正義という名の麻薬
猿の命名に苦情殺到
大分市の高崎山自然動物園が、イギリスで王女シャーロットがご生誕されたのを機に、生まれた猿に「シャーロット」と名づけました。ただ、そのことが報じられると、動物園に対して『猿に王女と同じ名前をつけるのは不敬だ』と批判が殺到。動物園も一時は撤回を口にするなど混乱した対応をとりました。
お上に憚って改名する風習
日本には古くから、皇室や幕府などお上に気兼ねして名前を変える習慣があります。たとえば、大伴氏は大伴親王が帝になると伴氏と改名しました。
弘仁14年(823年)淳和天皇(大伴親王)が即位するとその諱を避けて一族は伴(とも)と氏を改めた。http://ja.wikipedia.org/wiki/大伴氏
また、今の羊羹の原型を作った和菓子の駿河屋も、将軍綱吉の娘・鶴姫が紀州徳川家にお嫁に来たときに鶴屋から屋号を変更しました。(参照http://ja.wikipedia.org/wiki/駿河屋)
苦情電話の主は本当にイギリス王室のため?
お上に遠慮して改名する場合は、命令もしくは当事者の自主的な判断で行われることがほとんど。
なので、高崎山自然動物園の場合とは事情が異なります。
シャーロットと名付けたことに対して、イギリス王室や日本政府が苦情を入れたのならわかりますが、苦情の主は、イギリス王室とは無関係の人物です。
一体何が目的なのでしょうか。
正義は麻薬
世の中には、他人を叩きたくて仕方がない人がいます。割合的には少数ですが、日本の人口1億人という大母数からすると、10万人に一人の性悪は1000人、百万人に一人の精鋭な性悪は100人はいます。彼ら彼女らの卑怯なところは、「錦の御旗」を手に入れると容赦なく攻撃してくるところです。今回はまさに「王室」という錦の御旗を手に入れて攻撃してきました。彼ら彼女らが一斉に苦情電話を掛けて電話回線をパンクさせられた動物園はさぞいい迷惑だったでしょう。
性悪どもがなぜ「正義」を振りかざすかというと、他人のためではなく、それが快感だからです。
中野:(略)「私は、悪いあいつを叩く正義の味方だ」と認知する部分が、「内側前頭前野」という場所に備わっているんです。すると、「私、正義の味方!」と思うことで、ドクドクとドーパミンが出るんです。会社や家で嫌なことがあっても、さくら夫人を叩くことで、一瞬で爽快感が得られてストレス解消。もはや、覚醒剤を摂取したときと同じようなことが、脳内で起きているんです。(参照http://n.cgiboy.com/column/3382/)外形上は「イギリス王室」のために行っているように見せつつ、その本質はドーパミンによる快楽ホルモンのために行っているのです。
ただ、脳の前頭前野に備わっているということですから、正義に囚われることは誰しも陥りやすい問題ともいえます。
ドーパミンは快楽だけではなく、ストレスも与えます。そしてドーパミンは快楽を追求させるホルモンに過ぎず、幸福そのものは決して与えないホルモンです。このホルモンにとらわれることほど厄介なことはありません。
正義はときに人生を破壊します。
正義感に駆られたときは、一歩踏みとどまりたいものです。
『地獄への道は、善意で舗装されている――』
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