IBM650(時価数億円の業務用コンピュータ)を輸送している写真を親戚の家で発掘。

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親戚が引っ越しするというのでその手伝いをしていたところ、アルバムが見つかりました。
アルバムはあまり整理されていないもので、当初は全部捨てるつもりだったようですが、私が物珍しそうにしているのを見て惜しくなったのか、家族の写真だけは剥がし取っていました。

「アルバムの中の家族写真以外は処分する」とおっしゃるので、残った仕事現場の写真らしきものをいくつか頂きました。
親戚から「そんなのどうするの?」といわれたとき、答えに窮したけれども、それこそ「なんとなく」頂いてきました。


バナー「銀行業務のオートメーシヨン 大阪 三和銀行様 納入 IBM650電気計算機」

アルバムにあったのは主に昭和三十年代の写真で、そんな時代に家庭でカメラを持っていたのも驚きですが、被写体にIBMの文字が写っていたのはもっと驚きでした。

撮影者(親戚の家長)はとうの昔に亡くなっていて、写真の具体的なエピソードを直接聞くことはできません。
ただご家族から、当人から聞いたという話を聞くことはできました。


写っているのは、IBM650という業務用コンピュータ。見えているのは梱包された箱だけですけど。写真の裏の日付は「1959年1月10日」です。
トラックのバナーにもあるように、1959年に大阪の三和銀行が導入したコンピュータだそうです。

ウィキペディアの「銀行のオンラインシステム」の項目にある、『1959年(昭和34年)、三和銀行(現:三菱東京UFJ銀行)が真空管を使用したIBM 650を導入したのが、日本初の銀行へのコンピュータ導入である。』というのはこれのことかもしれません。

IBM650は、量産化されたコンピュータとはいえ、現在の価値に換算すると数億円もする代物。値段もさることながら、真空管で出来たコンピュータはとてもデリケート。
そんなものを運搬する経験を持った会社は存在しないようでした。

ですので、運搬を依頼した先々で「そんなデリケート過ぎるもの、運べない」と断られたようです。
唯一手を上げたのが撮影者。
撮影者は戦争から帰ってきてすぐ、潰れかけていた運送会社を継ぎ、急速に業績を回復させた人で、性格的にも怖いもの知らずな人だったようです。
ドナドナの様子。手前の人が妙に小さいのはレンズの歪みのせい(?)

運送会社があったのは神戸だったので、写真に写っているのも神戸港でしょう。アメリカからやってきたIBM650は神戸で降ろされ、そこから大阪・三和銀行までの短いような長いような距離を運んだわけですね。

運搬は交通の少ない夜間に行われたそうで、そして少しの衝撃が機械の命取りになるので、事故を起こしたり起こされたりしてはいけないと「暴走ぞちょっとヤンチャなバイク乗りたちを複数人雇ってトラックを囲ませて運んだ」そうです。

その様子の写真がなくて残念ですが、それにしても珍しい写真を発掘することができて面白かったです。
ただ、親戚の家の作業はあまり進みませんでした。主に私のせいで。

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